マイナンバーを利用する申請書類はたくさんありますが、会計事務所では申告書がもっとも取り扱いが厄介です。


申告書作成ソフト頼みのマイナンバー管理

申告書の入力・作成・印刷は、「申告書ソフト」と呼ばれるもので行います。

フォローウインドのお客様で主に使われている申告書作成ソフトは、株式会社NTTデータさんの「達人シリーズ」と、

資格の専門学校TACが東京では販売している株式会社ハンドさんの「魔法陣シリーズ」になります。

NTTデータ「達人シリーズ」魔法陣シリーズ

顧問先のマイナンバーをどんな方法で収集し、その収集したデータをどこに取り込み、管理・運用するか?

申告書作成に限って言えば、申告書ソフトがその辺りを適切に対応してくれないと、正直会計事務所は困ってしまいます。

「達人シリーズ」のマイナンバー対策

7/6にNTTデータより「達人シリーズ」のマイナンバー対策として、「データ管理の達人」の提供が案内されました。

「データ管理の達人」含め、「達人シリーズ」のマイナンバー対策の大きな特色は以下の通りです。

  • 認証されたユーザーのみがマイナンバーの利用・保管ができる
  • マイナンバー等をいつ誰が利用したかのログが取得できる
  • マイナンバーを利用する権限をもったユーザーのみが出力した時だけマイナンバーが表示される
  • マイナンバー等のデータ収集を簡易に行える機能を提供予定

さすがNTTデータという感じです。

気になるのは「魔法陣」サイド

従来から「達人シリーズ」では、「顧問先管理」という機能があり、各税目に分かれてデータを作成する際にも、顧問先のデータ管理は一元化されていたので、

マイナンバー導入時も、顧問先管理をベースに顧客情報のアクセス制御を実現するであろうと予想されていました。

魔法陣の場合、それぞれの税目、そして年度毎に顧客データを管理するので、

マイナンバー制度に伴い、大きく改訂されると予想されます。

問題は申告書作成ソフト以外にもある

マイナンバーは申告書だけではありません。

源泉徴収票や支払調書などでも記載されます。

申告業務以外で収集・管理する必要があります。

例えば給与ソフト等で、申告書作成ソフトとは別にマイナンバーの入力が求められると思います。

そうなるとマイナンバー自体が複数のシステムに分散することになります。

これは非常によろしくない。

1つ、マイナンバーを管理する仕組みがあって、そこには厳格なアクセス権やセキュリティ、監査機能が付加されており、

その仕組みから、必要な時に、許可された人だけがアクセスできるような仕組みになる必要があります。

第三者への外部委託

そうなってくると、申告書ソフトや会計ソフトではなく、もっと広い目でのマイナンバー管理方法を模索する必要があります。

勘定奉行でお馴染みのOBCさんが「OBCマイナンバーサービス」の案内を始めています。

企業や会計事務所が利用するマイナンバーを、クラウド上に保管し、OBCに管理等を委託するイメージです。

収集業務でさえ外部委託ができれば、本来収集しなければならない企業や会計事務所にとっては、かなり業務負荷が軽減されると思います。

実際にマンパワーグループや三井化学などは、既に自社のマイナンバー管理を外部委託することを表明しています。

ただし外部委託された側も厳格な管理を要求されますし、委託した側も委託先の管理状況を監督しなければならないとなっているので、

万が一、漏洩事故等が起きてしまった場合、外部委託先だけの問題では済まされないのが、特定個人情報保護の恐ろしいところです。

(山下 史彦)